東京都中小企業振興公社の助成金を選ぶときは、最初に「何を買うか」ではなく「何のために使うか」を整理します。社内で使うITツールの導入、量産に向けた設備投資、販売する製品の研究開発では、確認する制度が変わるためです。
金額が大きい制度から探すと、必要以上の投資になったり、使いたい時期に間に合わなかったりします。この記事では、都内の中小企業が相談前に整理しておきたい順序をまとめます。
この記事の要点
- 社内業務の改善、量産設備の導入、製品・サービス開発を分けて考える。
- 募集終了の制度と受付中の制度を区別し、対象期間まで確認する。
- 相談には所在地、困っている仕事、見積もり、導入希望時期を持ち寄る。
2026年9月26日確認。デジタル導入促進は第1回終了・第2回予定表示、受付開始未確認。躍進第13回・新製品令和8年度は受付終了。課題解決型第2回は10月30日17時までの受付期間内。
まず、投資の目的を一文にする
例えば『受注情報を販売管理ソフトへ毎日転記しているので、この入力を減らしたい』と書ければ、検討したいのは社内のデジタル化です。一方、『新しい顧客向けに製品を開発し、試作品を評価したい』なら研究開発です。同じソフトウェアへの支出でも、目的は異なります。
次に、現状の作業を知る担当者へ、入力する情報、使っている帳票、確認が必要な箇所を聞きます。経営者だけで見積もりを選ぶと、使う側が必要とする機能を見落とすことがあります。制度を調べる前に、減らしたい手間と、残すべき確認作業を分けておくと、比較の基準ができます。
目的別に確認したい4つの制度
次の表は候補を絞るための整理です。各制度の対象者・対象経費には個別の条件があり、目的が合うだけで申請できるとは限りません。
表は横にスクロールできます →
| 投資の目的 | 確認する制度 | 最初の確認点 |
|---|---|---|
| 社内業務に市販のITツールを導入する | 中小企業デジタル導入促進補助事業 | 新たに導入するソフトウェア・クラウドサービスか。[1] |
| 量産・サービス提供の能力を高める | 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 | 試作開発ではなく、事業の競争力・生産能力を高める設備投資か。[2] |
| 新製品・新技術の試作品を開発する | 新製品・新技術開発助成事業 | 設計・製作・試験評価を伴う研究開発か。[3] |
| 都の支援テーマに沿う製品・サービスを開発する | 課題解決型技術開発促進事業 | 都市課題の解決に向けた開発・改良か。自社で既製品を使うための購入とは区別する。[4] |
特に『AIを使う』という説明だけでは絞れません。社内でAI付きの業務ツールを使うのか、顧客へ提供するサービスを開発するのかまで書き分けます。完成した製品を買う費用と、未完成の製品を開発する費用を、同じものとして扱わないことが出発点です。
募集状況と、実際に導入できる時期を確認する
2026年9月26日に確認した公式ページの状況は次のとおりです。
- 中小企業デジタル導入促進補助事業:第1回は終了。第2回は9月頃の予定と案内されていますが、申請フォームは受付停止の表示です。受付開始を確認できていないため、募集中としては案内していません。[1]
- 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業:第13回の受付は7月23日17時で終了しています。[2]
- 新製品・新技術開発助成事業:令和8年度の受付は終了しています。[3]
- 課題解決型技術開発促進事業:第2回の受付期間は9月14日~10月30日17時です。[4]
申請締切に間に合うことと、希望日に導入できることは別です。例えば躍進の第13回は、助成対象期間が2026年12月1日~最長2028年5月31日です。契約・納品・支払いをこの期間内に完了する条件を確認する必要があります。[5]
待つことで業務に支障が出るなら、補助金を使わずに先に導入する判断もあります。次回募集を見込んで契約を進める前に、制度を待つ費用と、自己資金で進める費用を比べてください。
見積もりは、金額より先に中身を分ける
『システム導入一式』だけでは、何にいくらかかるかを判断できません。ツール本体、設定、データ移行、追加開発、利用料、機器、保守を分け、どこまでが今回必要な作業かを確認します。これは比較のための整理であり、すべてが助成対象になるという意味ではありません。
東京都のデジタル導入促進補助事業では、市販のパッケージを使わずにゼロから開発するソフトウェアなどは対象外です。『カスタマイズ費』という見積もり名だけで判断せず、既存製品の設定なのか、個別開発なのかを説明できる状態にします。[6]
あわせて、導入後に毎月かかる費用と、社内で必要になる作業時間も計算します。助成を受けられる場合でも、立て替える資金は必要です。例えば躍進では、設備代金の支払い後に助成金が交付されます。[5]初期費用だけでなく、使い続けられる金額かを確かめましょう。
ITツールを検討している場合は、東京都のデジタル導入促進補助事業と国制度の比較も参考にしてください。
相談前にそろえたい5つの情報
- 本店・支店の所在地と、実際に事業を行っている場所
- 今困っている仕事と、改善後にどうしたいか
- 導入したい設備・ツールの資料と、あれば見積もり
- 契約済みかどうか、いつから使いたいか
- 予算、支払い時期、社内で導入を担当する人
制度名を決めてから相談する必要はありません。まずこの5点をそろえると、候補の比較と、申請前に確認すべき不足情報が明確になります。
KMSTでは、補助金の申請準備に加え、AI研修やAI・IT導入も支援しています。申請だけのご相談か、導入内容の整理から必要かを伺い、支援する範囲をご提案します。
よくある質問
東京都に事業所があれば、どの制度でも申請できますか?
一律には判断できません。都内拠点の登記、事業の実態、事業を継続している期間など、制度ごとに条件が異なります。所在地に加え、登記と事業開始時期も確認します。
受付が終了している制度は、検討しなくてよいですか?
今すぐの申請先にはできませんが、今後の投資計画を整理する参考にはなります。次回募集の実施や同じ条件での継続は、公式発表前に決めつけないでください。
AIを使う計画なら、どの助成金でも対象になりますか?
AIの有無だけでは決まりません。社内利用のための導入か、顧客向け製品の開発か、対象経費と実施時期が制度に合っているかを確認します。
出典・公式資料
制度の条件は公募回ごとに変わります。申請・契約前には、利用する公募回の要領を確認してください。
- 東京都中小企業振興公社|中小企業デジタル導入促進補助事業確認日:2026-09-26
- 東京都中小企業振興公社|第13回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業確認日:2026-09-26
- 東京都中小企業振興公社|新製品・新技術開発助成事業確認日:2026-09-26
- 東京都中小企業振興公社|課題解決型技術開発促進事業確認日:2026-09-26
- 第13回 躍進的な事業推進のための設備投資支援事業 募集要項(事業内容・スケジュール)確認日:2026-09-26
- 令和8年度第1回 中小企業デジタル導入促進補助事業 募集要項(対象外事業)確認日:2026-09-26
投資の内容から、利用できる制度を整理します
所在地、減らしたい手間、導入したいもの、希望時期をお知らせください。見積もりがある場合は、その内容をもとに確認を進めます。
投資内容・制度について相談するまずは投資検討シートで整理する


